アレルギーとは
最近よく耳にするアレルギー。
でも一体なんなのか、解らないというママも多いはず。
そんなママたちの疑問に答えていただきました。
Q.なぜアレルギー体質が増えてきたの?
A.日本では昭和30年代以降に生まれた人に急激に増えています。
アレルギー反応は外から侵入する異物から身を守る「免疫反応」が過剰反応すること言います。
本来であれば重要なシステムですが、免疫バランスが崩れたために自分自身の体を攻撃するほどに過剰な反応が出てしまうのです。
近年に患者が急増した原因は、農業を営む人が減り、道路などが整備されて衛生環境が整ったことや、抗生物質の発達などにより、寄生虫や細菌、
ウイルスなど、本来の免疫反応が攻撃すべき敵が減少し、免疫のバランスが崩れたからだと解釈できます。
Q.どうすればアレルギー体質にならない?
A.乳幼児期は、健康な子どもの場合、除菌をしたり、抗生物質をむやみに与えたり、症状が出る前にアレルゲンの制御をせず、外気に触れ
泥遊びなどをして、「適度に不衛生」を保つ(エンドトキシンに触れる)ことが必要です。
ただ、ダニは除去したほうがぜんそく予防になります。
Q.上の子がアレルギーだと2人目も?
A.上に兄弟が2人以上いる場合、下の子どもがアレルギーになる確率は2分の1になる、というデータが出ています。
また、兄が多いほどその確立は低くなります。
これは、1人目より2人目、3人目のほうが「適度に不衛生」な環境に置かれやすいことと関係があるようです。
Q.農家の人はアレルギーになりにくいと聞きました
A.ドイツの田舎では、生まれた直後から家畜に囲まれて育つ子どもは、エンドトキシン(細菌の細胞壁にある物質)を浴びる量が多く、
アレルギーになる確率が通常の5分の1という報告もあります。
日本の場合、花粉症やアレルギー性ぜんそくに関して同じ傾向があります。
Q.アレルギーじゃ遺伝する?
A.両親のどちらかが強いアレルギー疾患だと、子どもがアレルギー体質になる確立は、そうでない人の3倍になります。
しかし遺伝子よりも環境による要因が大きいうえ、アレルギー体質なら必ずアレルギーの症状が出るとはかぎりません。
症状が出る前からの予防は必要ありません。
Q.赤ちゃんもアレルギー検査はできる?
A.1歳未満でも検査はできますが、アレルギー検査で陽性や陰性と出てもアレルギー症状が出るかどうかは判定できません。
検査の数値よりも、子ども症状をしっかりと把握することが大切です。
もしも症状がある場合は医師と相談して、今後の生活方針などを検討していきましょう。
Q.アレルギー体質なのに症状が出ないのはなぜ?
A.IgE抗体(アレルギー症状を引き起こす抗体)の数値が高くても、皮膚や粘膜のバリア機能が高ければアレルギー症状が出ない場合があります。
また「制御性T細胞」などアレルギー疾患の発生を抑える要素を併せ持つ人もいます。
検査でIgE抗体の数値が高いからといってアレルギー症状が出るわけではありません。
Q.アレルギー疾患の症状を教えてください
A.アレルギー症状は代表的なものに、皮膚(湿疹、じんましんなど)、呼吸器(鼻水、くしゃみ、せきなど)、消化器(腹痛、おう吐、下痢など)、
目の充血や頭痛、全身(アナフィラキシーなど)があります。
同じ症状でもアレルギーが原因でない場合があるので自己判断はさけましょう。
Q.どんなときにお医者さんに行けばいいの?
A.吐いてじんましんが出るときなど二つ以上の症状が続く、または悪化している場合には、必ず医師の診察を受けましょう。
何かを食べた後すぐに症状が出る場合、家族に重いアレルギー疾患の人がいたり、同じ症状を繰り返すなどの要素があればアレルギー疾患が疑われます。
Q.信頼できる情報や医師の見つけ方は?
A.アレルギーにかかわらず、知人やインターネットの情報による自己判断は危険です。
まずはかかりつけの小児科、耳鼻科、皮膚科などを受信しましょう。
アレルギーに関する情報やアレルギーの専門医は日本アレルギー学会のホームページからも探すことができます。
Q.アレルギーは一生治らないんですか?
A.アレルギー体質はほとんど変わりませんが、アレルギーの症状についていえば、答えは「治る」です。
乳幼児は特に未成熟な器官が多いので、ほとんどの赤ちゃんが治ると思ってよいでしょう。
医師とタッグを組み治療を続けることでアレルギー疾患の症状を抑えていくことができます。
Q.妊娠中から気をつければ予防できる?
A.妊娠中に牛乳や卵などアレルゲンになりやすいとされる食物を制限することは、子どものアレルギー発症に関係はなく予防効果もありません。
神経質にならずふだんどおりの食生活を。
ただし、妊娠本人にアレルギー症状があれば、もちろん、そのアレルゲンを避ける必要はあります。
Q.母乳だと子どもがアレルギーになりやすい?
A.「両親ともアレルギーがあり、生後9ヶ月以降も母乳を避け、なおかつ離乳食を遅らせた場合にのみアトピー性皮膚炎のクスリを高める」
という調査結果もありますが、それ以外では母乳にリスクはありません。
母乳にはリスクはありません。母乳には食物アレルギーを抑える物質も含まれています。
Q.食品添加物はとらないほうがいい?
A.仮性アレルゲンとしてアトピー性皮膚炎の悪化を招く可能性はありますから、食品添加物はとらないに超したことはありませんが、
日常生活の中で全くとらないようにすることは難しく、食物アレルギーとの因果関係は不明です。
あまりに神経質にならず、楽しく食事をしましょう。
Q.ベジタリアンはアレルギーにならない?
A.肉や魚、乳製品以外にも、大豆はもちろん野菜や果物にもタンパク質は含まれます。
マクロビオティック実践者やベジタリアンがアレルギーにならないという調査はありません。
貧血や栄養障害などの心配も出てくるので注意しましょう。
良質のタンパク質が必要です。
Q.子どもがアレルギーになったら母乳もNG?
A.母乳を与えているときに子どもが食物アレルギーと診断されたとき、母親もその食品の除去が必要になる場合があります。
ただし、母親自身の栄養障害を引き起こしたりストレスになる場合には、母乳栄養に固執せず、医師と相談のうえ、
アレルギー用ミルクへの切り替えも必要です。
Q.花粉症だと果物が食べれないの?
A.花粉症と診断される乳幼児はそれほど多くありません。
が、構造の近いタンパク質でアレルギー反応を起こすことがあります。
シラカバ花粉とリンゴ、スギ花粉とトマトなどがありますが、全員がそうではありません。
心配な場合には様子をみながら少しずつ食べれるようにしましょう。
Q.卵アレルギーだと予防接種を受けられない?
A.インフルエンザの予防接種に関してはワクチン製造の過程で卵が使われますが、最近では完成したワクチンにほとんど卵の残留物はありません。
卵アレルギーの程度によりますが、軽い卵アレルギーなら問題はありません。
重篤な症状を起こす場合じゃ接種前に医師とよく相談しましょう。
Q.離乳食は早いほうがいい?遅いほうがいい?
A.アレルギー体質にしたくないからと1歳までミルクしか与えないとなど、極端な対応は必要な栄養分を摂取できず危険です。
必要以上に早く進めるのもよくありません。
通常どおりに進めましょう。
授乳中になんらかの食物アレルギーだと診断された場合は医師と相談しながら進めます。
Q.乳製品で口の周りが真っ赤に。アレルギーですか?
A.乳児期は皮膚がデリケートでかぶれやすいこともあるので、一概に食物アレルギーとは言えません。
例えば、母乳では赤くならなかったのに、粉ミルクやヨーグルトなどで確実に何度も赤くなる場合などは、牛乳アレルギーの可能性もあります。
医師の診察を受けましょう。
Q.心配なものは過熱すれば大丈夫?
A.卵や果物など加熱することでアレルギーは起こりにくくなる食品も多いのですが、すべてではありません。
牛乳や小麦、甲殻類は加熱してもあまり変わりません。
魚介類は鮮度が落ちるとヒスタミンが増えてアレルギーに似た症状を起こすこともあるので新鮮なうちに調理しましょう。
Q.食物アレルギーになると一生食べられないの?
A.乳幼児に卵や牛乳アレルギーと診断されても、2〜3歳を過ぎると食べられるようになる子どもが増えてきます。
逆に甲殻類、ピーナッツ、そばなどは学童期以降でもアレルギー症状が治ることは少なく、食物により治りやすいものと治りにくいものがあります。
Q.両親が重い食物アレルギーだったら?
A.両親のどちらかが重症の食物アレルギーでも血液検査などを事前に受ける必要はありません。
例えばそばやピーナッツなどがどうしても心配な場合などは、ほんの少しくちびると歯茎の間にはさんでしばらく様子をみるとよいでしょう。
症状が出た場合には早めに診察を受けましょう。
Q.アナフィラキシー・ショックって何?
A.非常にまれですが、アレルゲンを取り込んだときに顔面蒼白、呼吸困難、血液低下、意識障害などを伴うアレルギー反応を起こすことです。
この場合、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。
アレルギーの子どもを預けるときは医師の指示を守るように必ず伝えておきましょう。